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さよなら、私が愛した妄想

現実と妄想の狭間で

喫茶店で働く看板娘の「つゆだく」を私物化したモンスターを忘れない

日記

新卒で入った会社はハードな現場だった。

深夜までのサービス残業、入社初日の人にも怒鳴り散らす上司、毎月辞めていく従業員、23時からの社内会議、強制参加の飲み会、薄給、貧乳社員、、、

ようやく仕事を終えて自宅アパートへ帰っても、隣から聞こえる白熱した試合の影響で眠りにつくこともできない。 

www.delusiontheater.com

疲れていた。。。

でも、不思議と心は折れなかった。折れなかった原因は2つある。

会社に精神ボロボロにされてたまるか!という強い意思⇒20%

近所の喫茶店で働く元気で可愛い看板娘の存在⇒80%  

社畜時代を救っくれた希望の光

決してハッピーでなかった日々に潤いを与えてくれた小島瑠璃子似の看板娘(以下ツユ子)には感謝している。ツユ子は太陽のように明るい笑顔とシャキシャキした接客態度でお店のムードメーカー。

さり気ない会話も◎

「今日は午後から雨みたいですよ〜」

「あれ?髪切りました?いいですね!」

「最近見なかったのでどうしたかと」

時間にして10秒あるかないかの短い時間だったが、ツユ子との他愛もない会話に何度気分転換できたことか。

隠れ人気メニュー

この喫茶店の人気メニューはナポリタンとなぜか牛丼で、いつも頼んでいたのは牛丼。

ある日いつものように牛丼を頼もうとしたら先客が「牛丼、、つゆだくで!」とオーダーしていた。

あれ?ここそういうのOKなの?

慌ててツユ子に確認する。
「つゆだくもいいんですか?」

「あーーごめんなさい!言ってませんでしたね笑。大丈夫ですよ!」
「じゃあ、牛丼つゆだくでお願いします!」

つゆだくが好きなわけではない。むしろ少しパサパサ気味な牛丼が好きなんだけど、ツユ子に対して「つゆだくお願いします」と言いたいがためだけにつゆだくをオーダーした。それ以降、日曜の昼は牛丼のつゆだく一択になっていたのは言うまでもないだろう。

まさかツユ子に「つゆだく」といえる日が来るなんてー 

 

しかし、幸せだったつゆだくライフは一人の猛者によって破壊されることになる。

つゆだくモンスター

猛者はケイン・コスギ似のマッチョ兄さん。

今まで見たことなかったが、常連客のようで「えーーっと、牛丼つゆだくだくでお願い!」と慣れた様子でオーダーしていた。

ツユ子はいつもの笑顔で「はい!」と。
少し動揺した。だくだくってアンタ。。。

私も釣られ「すいませーん!えーーっと、牛丼のつゆだくだくだくでお願いできますか?」と、先を越された焦りから「だく」を一つ多くしてみた。

つゆだくだくだくの牛丼はビチョビチョで食べ辛かったが、味の選り好みをしている場合じゃない。言葉にするのは難しいが、ここで引けばツユ子を奪われると直感で感じた。そう。これは戦いだ。

以降もつゆだくモンスターは見かける度「牛丼のつゆだくだく」を頼み、その度に私も「牛丼のつゆだくだくだく」をオーダーして競っていくようになる。

正直「だく」一つ多いからツユ子を振り向かせられる保証はどこにもない。無駄なことであることも十分理解している。

でも、ここで引いたら天国にいる爺ちゃんはどう思うだろうか???
なんも思わんだろうね。。

 

そして、その無駄な戦いも二ヶ月で幕を閉じる。

それは、ツユ子とつゆだくモンスターが付き合っていることを知ってしまったため。。。

 

-とある休日-

買い物で駅に向かって歩いていたら、前から手を繋いで歩くツユ子とつゆだくモンスターの姿が。

うっっ、、これは。。。

もうこやつはモンスターではない。

ご立派なツユ男だ。

 

いつの間にか…
全く気付かなかった。。。

 

ツユ子が私に気付き軽く会釈して二人は去っていく。

苛ついたのが、去り際に見せたツユ男の"勝った感”

なんとも言えない空虚感を味わい、その後しばらくは喫茶店から遠ざかるようになる。

ツユを巡る恋物語の終着駅 

同じ時間に同じ牛丼を食べた二人の男。

いや、勝者と敗者。

その違いはあまりにも大き過ぎた。

一人は牛丼のつゆだくだくだくを食べて家では汁だくだくだく
一人は牛丼のつゆだくだくを食べてツユ子のツユもだくだく&抱く抱く

両者を分けた差は分からないが、確かに負けた。

男として。

汁男として。

 

-約二ヶ月後-

久々にその喫茶店へ行くとそこにツユ子はいなかった。明るかった店内は昭和のレトロ感が残る元の味わい深い喫茶店に戻っている。(元は知らないけど)

マスターに聞いた。
「あれ?◯◯さん(ツユ子)さんは?」
「◯◯さんねえ、一ヶ月前ぐらいに辞めちゃったよ」

こうしてサヨナラの挨拶もできぬまま、23歳の儚くてつゆだくな恋は目からつゆだくという形で終わりを迎えた。

ツユ子の後継者はまだ決まってないようで、マスターの奥さんがウェイターをこなしていたが、如何せん前任とのギャップが激しすぎる。

私は思い出にケリをつけるため「牛丼、、つゆだくだくだくだくお願いします!」と未体験ゾーンのだく4(抱くフォー)を注文した。

すると「え?ビチョビチョになるわよ?」と乾いた表情で奥さんに注意されたが「はい」と力強く答える。この期に及んで味の選り好みはしねえ。

出された牛丼はお粥っぽくて肉の旨味も消えた薄っすい味だったが、長きに渡った戦いを終えるに相応しい味付けであった。

マスター。。。

ツユ子への想いを卒業させてくれたマスターのツユぶっかけには感謝他ない。

ツユ子と汁男、二人はどうなったか?

もう10年も前の話になるから別れていても、結婚していてもおかしくない。

できれば二人が今も一緒で幸せに暮らしていることを願っている。

牛丼つゆだく選手権で負けたからといって「別れちまえバーカバーカ」というのは幼稚過ぎるし、私を倒した猛者として、終わらない[ベッドで汁だくだく選手権]を続けていればいいなと心から思う。

 

それが、今いえる精一杯の強がり。

 

と、少し感傷的になってしまいましたが、今週のお題「つゆだくだくのドスケベ女」は以上となります。